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vol.13

「地域包括ケアシステム」

介護保険制度が始まって12年が経ちました。介護で苦しむ本人や家族から24時間安心して暮らせるように、金銭的にも精神的にも肉体的にも解放し、社会全般でその役割を担っていこうと始まった制度が介護保険です。今や介護保険サービスを利用する人は、当初の97万人から451万人(平成24年5月)に増え、高齢者の生活を支える制度として定着しています。
今まで3年ごとに介護保険の見直しが行われてきました。介護予防にさらに力を入れる、地域に密着したサービスの創設、特別養護老人ホームなど入所の居住費の見直し、また介護職員の離職率の低下対策などが行われてきました。
今年の4月にも改正が行われていますが、どのように変わったのかについてご説明しましょう。
今回の改正の主旨は以下のとおりです。
「高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるように、医療・介護・予防・住まい・生活支援サービスが切れ目なく提供される『地域包括ケアシステム』の実現を目指す」というものです。
少し分かりづらいので、3つのポイントに整理してみましょう。
(1)24時間対応の定期巡回・随時対応サービスを新たに作る

重度の要介護高齢者の在宅での生活を支えるために、日中・夜間を通じて訪問介護と訪問看護が密接に連携しながら、短時間の定期巡回訪問と必要に応じた随時の介護・看護を行う「定期巡回・随時対応サービス」が介護保険サービスに新たに加えられました。

従来、在宅ケアはヘルパーが自宅を訪問して、1時間から1時間半といったまとまった時間で家事援助や身体介護を行ってきました。滞在型というものですが、これでは介護が重くなった方には対応ができないことがありました。そこで、1回あたりの時間を15分・20分と短くして、短時間の定期巡回訪問としました。また、緊急時に利用者が電話をすれば、随時対応するシステムを組み込み、在宅の安心感を高めようとしたものです。

日常生活圏域(中学校区)ごとに市町村が整備することとなりました。

定期巡回訪問
(2)複合型サービスでより医療的なケアにも対応

訪問介護・デイサービス・ショートステイの組み合わせで行われてきた小規模多機能型居宅介護に、訪問看護など複数の居宅サービスや地域密着型サービスを組み合わせて提供するものです。より医療的なケアが必要な人でも対応できるようになりました。

小規模多機能型居宅介護
(3)介護予防・日常生活支援総合事業

利用者の状態像や意向に応じて、介護予防・配食などの生活支援・権利擁護など市町村の判断で総合的なサービスの提供ができるようになりました。
暮らしている地域で医療を含めた総合的な介護サービスが提供されることで、安心して住み続けることができるように今回の改正が行われました。